Sankyo Graphic
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製版

高性能機器で効率アップ!
三共グラフィックのCTP出力機を解説

2024-10-10

三共グラフィックには印刷のための機材が色々と揃っています。
一番大きくて高価な機材はやはり印刷機です。
弊社ではKOMORIという日本でも最大手のメーカーの印刷機を運用していて、日本銀行券、つまりお札を刷っているのもこの会社の印刷機なんだそうで信頼性の高い印刷機です。
この印刷機ではおおよそ一時間に最大で1万枚の印刷物を刷ることが可能です。

刷版について

CTP(Computer to Plate)でつくるハンコ

でも高価な印刷機もそのままでは印刷はできません。印刷機には「刷版」というアルミ板で出来たハンコが必要になります。
刷版には絵柄が焼き付けられていて、これが印刷機にセットされ、インキを載せ、紙に印刷されます。
この刷版、CTP(Computer to Plate)という機械でコンピュータから直接プレート(刷版)に焼き付けられて出力されます。
一昔前は版下と呼ばれる厚紙に写植を糊で貼り付け、それをカメラ撮影してフィルムにし、さらに画像や色ごとにフィルムを切ったり貼ったりして最終的にまとめられたフィルムを刷版に乗せてゴミが入らないよう気をつけながら光で焼き付けるという長い長い工程を経ていたのですが、今はDTPのデジタルデータから直接ポン!でハンコが出来上がります。

CTP出力の流れ

CTP出力の流れはまず、データをInDesignやIllustratorなどのDTPアプリケーションでPDFにして、RIPというワークステーションに投げます。
RIPというのはRaster Image Processorの略で、以前はラスターイメージの名の通り、DTPのデータを画像化し、フィルムなどに出力するだけの機械だったのですが、現在では刷版の設計、演算処理、CTP出力機の制御、PDFの生成、インクジェット出力用のTIFFファイルの生成、遠隔からの画面校正など、広範囲な処理が可能なワークフローRIPと呼ばれるものが主流です。
ラスターイメージというのは通常Illustratorなどのベクター系DTPアプリケーションの画像や、あるいはフォントなどをPhotoshopなどの画像のようなビットマップ系イメージに変換したものですが、CTPの場合、それとは別に「網点化」という処理が必要になります。
Photoshopの画像を最大まで拡大すると、四角いドットが集まって画像を構成しています。それに対し、印刷物の方はルーペなどで拡大して見るとシアンやマゼンタ、黄、黒の丸い点が集まって画像を構成しているのがわかると思います。Photoshop、というかコンピュータだったら一つ一つのドットを1677万色から好きな色で表現できますが、オフセット印刷では基本的にCMYKの4色のインクの点の密度で全ての色が表現されます。黒い点の集まりの密度が高ければ黒に認識されますし、密度が低ければグレーに見えるでしょう。
密度の低いMの網点とYの網点が重なっていれば離れてみると桃のような色に見えます。DTPデータをこの網点に変換するのが網点化です。

RIPでの変換作業

Illustrator、Photoshop、InDesign、あるいはCLIP STUDIO PAINTのようなアプリケーションのデータをこのような印刷用の網点に変換するのがCTPにおけるRIPのメインの仕事になります。
Photoshopでカラーの印刷用の画像を作成する時は、印刷会社によって違いはあるものの300から350dpiで作成する方が多いと思いますが、写真はいいとしても文字やグラフなどの画像はこの解像度だと不足でややぼやけてしまいますので、刷版出力する時は2400dpiという高解像度が必要になります。
Photoshopで試しに2400dpiの画像を作成してみるとわかりますが、あまりに高解像度すぎてファイルが重くまったく扱えません。このため専用のワークステーションであるRIPでの変換作業が必要になります。

RIPとつながったPCで印刷する絵柄の設計を行い(版設計、面付け、大貼りなどと言われます)、RIPに演算させた後、間違いなどが無いかインクジェットプリンタで試しに出力してみます。
このインクジェットプリンタでのチェックでOKが出たら、CTP出力機にデータを流します。
CTP出力機は使用前の刷版が格納されている「オートローダー」、実際にデータを焼き付ける「レコーダ」、焼き上がった刷版を現像する「現像機」、出来上がった刷版をストックしておく「ストッカー」に分かれています。

オートローダー

CTP出力機にデータが流れると、刷版がオートローダーからレコーダに搬送されます。オートローダーには数百版の生の刷版が格納されています。一日何百版も出力するのに、一枚一枚セットすると大変なので予めオートローダーにセットしておくわけです。家庭用のプリンタでも用紙を何十枚かセットしておくのと同じです。

弊社のCTP出力機

レコーダに送られた刷版はレコーダ内部で大きなシリンダーに巻きつけられ、高速で回転しながらレーザーで絵柄を焼き付けられます。弊社のCTP出力機は富士フイルム製の「Luxel T9800HD」とECO3(旧・アグフア・ゲバルト)の「AVALON N8-90」の2台を使用していますが、中身は大日本スクリーン製造(現・SCREEN)というメーカーが製造しており、ほぼ同じものです。

これらのCTP出力機は1030x800mmの大きさの刷版を一分間に1枚出力可能です。二十数年ほど前、CTPが出始めた当初は5分に1枚程度しか出力できず、エラーも多くて生産性も低く、トラブルも多いモノでしたが、今では速度も信頼性も段違いに高くなっています。
昔の刷版は光で焼き付けるのにゴミが入らないように気を使いましたが、CTPでは多少のホコリなどはレーザーで焼き切ってしまうのでアナログ時代ほど気を使う必要もありません。ですが、CTPルーム自体は製品の品質管理上当然きれいな状態を保っておく必要はあります。

現像機&ストッカー

レコーダで絵柄を焼き付けられた刷版は現像機に搬送され、現像されます。現像機は現像液が満たされ刷版を現像する現像部、現像液などを洗い流すリンス部、キズなどがつかないよう刷版の表面を保護するためコーティングを行うガム部、現像液、リンス液で濡れた刷版を乾かす乾燥部を通り、最後に完成した刷版を溜めておくストッカーに運ばれます。

近年の動向

近年は現像処理を必要としない無処理版も出てきており、ECO3の「ADAMAS」はレーザーで露光された表面の被膜を剥がしてガムでコーティングするだけ、富士フイルムの「ZX」、コダックの「SONORA XTRA」に至ってはCTPで出力した版をそのまま何もせず印刷機にかけることができます。現像処理を行わないこれらの無処理版は、刷版が現像液のコンディションなどに影響されないため品質も安定しており、また薬剤も使わないため環境にも優しいのが特徴です。

CTP出力機にデータを流してからストッカーまで人の手は入りません。機械のトラブル、現像液や刷版の補充などである程度人員が必要な事はありますが、ワークフロー自体は完全に無人です。

無論、自動化、デジタル化されたとはいえ、本の仕様やお客様のご要望に合わせて様々な職人技的な技術は未だに必要とされていますが、DTPとCTPの導入によって大幅に合理化されたのは間違いありません。

近年ではこのCTPと刷版すら必要なく、コンピュータから直接印刷機にデータを送り印刷してしまう、まさに超大型インクジェットプリンタと言えるデジタル印刷機も発売されています。

品質は大分向上してきましたが、まだ高価な割には印刷速度などが不十分な部分もあり(用途によりますが)、導入されている印刷会社はそれほど多くありませんが、将来的にはこのタイプの印刷機が主流になるかもしれません。

ですが、現在のところまだまだ従来型の印刷機が多くを占める印刷業界ですので、当面弊社CTP部門も忙しい日々を送ることになりそうです。
三共グラフィックでは一般の方の工場見学などは普段行っておりませんが、来社される機会があれば印刷部だけではなくCTPも是非ご覧いただければと思います。

こちらよりお問い合わせください。

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