印刷業界において、取得しておくと有利な資格があります。職種によって求められるスキルは違いますが、印刷業界に関連する主な資格を紹介します。
資格の種類
DTP検定
「DTP(ディーティーピー)」とは、「Desktop Publishing(デスクトップ パブリッシング)」の略称です。印刷をするための版をパソコンでつくることを指します。印刷会社にとっては非常に重要な作業となります。このDTPをおこなうオペレーターの資格として「DTP検定」があります。Ⅰ種(プロフェッショナルDTP)、Ⅱ種(ディレクションDTP)、Ⅲ種(ビジネスDTP)の三種類あるのが特徴で、Ⅰ種はオペレーターやクリエイター向け、Ⅱ種は編集などの印刷物を総合的に統括する仕事をしている人向け、Ⅲ種は主にビジネス文書を作成するために必要な知識が必要なものです。
DTPエキスパート
もうひとつDTPの資格として「DTPエキスパート」というものがあります。これは、公益社団法人日本印刷技術協会が認証する資格で、「DTP概論」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」の5分野があり、学科試験と実技試験で構成されています。実技では実際にDTPを使用して版を作成するなどの内容となります。筆記試験では80%以上の正答率が求められます。どちらも専門知識が必要で、実務に近い試験内容なので、印刷会社に就職をしてから受験する人も多いです。また、「DTPエキスパート」の資格は2年毎の更新制なので、注意が必要です。
印刷技能士
印刷技能士は、製版技能士や製本技能士と並び印刷関連の国家資格となります。1級(7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験)と2級(実務経験2年以上)があり、それぞれ上級技能者、中級技能者がと位置付けられています(それぞれ学歴による減免期間あり)。
製版技能士
印刷技能士とともに国家資格である技能検定精度の一つです。製版とは、印刷に使用する版(刷版;さっぱん)を制作する職種です。現在ではDTPやCTP(ダイレクト 刷版)というデジタル技術が導入されているため、その操作方法や知識が必要となります。
Adobe認定エキスパート
現在のDTP技術が広まった要因の一つとして、アドビ社が発売したソフトが大ヒットしたことが挙げられます。その画期的な機能により、瞬く間にDTP、デザイン分野でトップシェアを築きました。「Adobe認定エキスパート 」は、そのアドビ社ソフトの認定となります。単独ソフトの認定なので、InDesign、Acrobat、Photoshop、Illustrator、Premiere、After Effectsのどれかを選んで試験を受けます。また、単一製品認定全てのソフトに関する試験を受けるスペシャル認定もあります。
印刷営業士
印刷営業士は、厚生労働大臣が認定する公的な認定制度です。
受験資格は印刷営業担当者としての経験年数が1年以上の方。受験申請に際しては企業主の証明が必要なので現役で活躍している印刷会社の営業の方向けの資格になります。印刷営業士の試験は、「知識試験」と「技術試験」の2つの試験があります。
知識試験の内容は、印刷関連技術の基礎知識、メディアリテラシー、コンプライアンス、マーケティングなどなどです。印刷関連技術の基礎知識というのが、印刷方法、機械の特性、印刷データやワークフローについてといった内容です。それに加えて印刷業界をとりまく環境の変化(IT化など)や法令、ISO、契約関連などの知識、お客さまへ提案をするためのマーケティングの知識も範囲に入ります。
技術試験では、見積積算と提案が問われます。実際に電卓を使用して計算をしたり、お客さまからのヒアリングの内容から提案を作成したり、より実践に近い内容になります。印刷物は決まった製品を売っているわけではありませんので、作成する仕様等によって見積りや提案が必要になります。お客さまのニーズをヒアリングし、課題の把握や媒体ごとによる見積りを提示、課題解決の提案が必要です。
職種によって資格も変わる
印刷業界にはさまざまな資格があります。そして、現在の印刷技術は細分化されているため、目指す職種により取得する資格も変わってきます。オペレーターを目指しているならソフト関連とDTP技術、現場を知りたいのであれば技能士試験などが適しています。
世間では安くて品質の良いネットプリントの活用機会が増えていますが、印刷のプロである印刷会社にお仕事を依頼していただくための差別化や強みとしてこのような資格があると思います。ネットプリントにはない付加価値と信頼を得るための資格を取得し、お客様に寄り添った活動に繋げていきたいと思います。
また、時代の流れとともに、IT化したデジタル媒体の内容も反映されていて範囲は広くなります。紙の印刷物だけではなく、WEB関係やオンライン広告、SNS運用などで、お客様のコンテンツを適切なカタチで発信していく知識も必要となります。